彼の優しさ

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「どうした?」 ハルカは振り向いた。 「あ…その…。」 マユは痛む足首を抑えていた。 「怪我したのか…。」 ハルカはマユの手をのけ、傷を見た。 「そんなに深くないが、出血がひどいな…。病院行くか。」 「え…?ですが、お金が…。」 「俺が出す。」 「え?」 マユはハルカの答えに驚いた。 まさか、お金を持っていたなんて…。 「しかし、総帥に出させるわけには…。」 「いい。出すといったら出す。とにかく行くぞ。」 「キャッ!!」 急にマユの体が宙に浮いた。正しくは、ハルカに抱き上げられていた。 いわゆる、お姫様抱っこってやつだ。 「あ、あの、総帥!あたし、歩けますから!」 「そんな怪我では無理だ。」 「しかし…「黙れ。」…んっ」 ハルカはマユの口を塞いだ。 二人の唇が重なっていた。 「黙って運ばれていればいい…。」 「はい…。」 マユはハルカの首に腕を回した。 マユの顔は赤くなっていた。 それを見たハルカはフッと笑った。 マユはハルカの腕の中で、彼の優しさを感じていた。 END
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