1人が本棚に入れています
本棚に追加
「待って…っ!」
マユは坂を転がるリンゴを追いかけていた。
リンゴはスピードを落とさず転がっていく。
やがて、坂が終わり、リンゴは先の壁にぶつかり、止まった。
「は…ぁ…、良かった…。」
マユはリンゴを拾い上げた。
気がつくと、路地に入っていた。
あの坂は、路地に続く坂だったのだ。
「早く総帥のところへ戻らなきゃ…。」
マユは先ほど下った坂を登ろうとした。
「!!」
マユは後ろの気配を感じ、振り向いた。
そこには…、
「グルルルル…。」
「なっ!」
狼がいた。
「(何でこんな路地に狼が…?今は武器は持ってないし…、逃げるしかない…!)」
マユは坂を駆け上がろうとした。
「ガァァァ!」
狼はすぐさま飛びかかり、マユの足首に噛みついた。
ガブッ!
「キャア!」
マユは噛まれてバランスを崩し、転んでしまった。
「このっ!離れろ!」
マユはそばにあった木の棒で狼を叩いた。
狼は痛みで足首を噛んでいた口を離した。
が、狼はすぐに体勢を整える。
マユは足首の痛みで立ち上がれない。
一瞬、恐怖が湧き出てきた。
「(襲われる…。怖い…、総帥…助けて…!)」
狼はマユ目掛けて飛びかかった。
「イヤァーーーー!ハルカーーー!!!」
マユはこの場にいない彼の名を呼んだ。
最初のコメントを投稿しよう!