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「何と言うか、本当に暇だな。はぁ」
小さく呟き、軽く溜め息を零す。
3月31日。春休みのド真ん中。
夏休みや冬休みと違って宿題はない。
受験戦争で勝ち取った高校にも少しの期待を寄せてしまう。
そんな人生の中でも期待と不安が入り混じる日々の中、結城零路(ゆうき・れいじ)は退屈を強いられていた。
その日、彼の姉と妹はそれぞれお泊まりだの何だので家に居なかった。
だいたい彼も彼の親友や友人の家に泊まりにいけばいいのだが、あいにく、彼の親友である成績優秀で文武両道、才色兼備、そして何より容姿端麗といいこと尽くしの厳島式都(いつくしま・しきと)の家は親戚などが来ていて行けないらしい。
まぁ、厳島家は代々続く厳格で歴史のある家だからしょうがないけど。
それから友人達は高校受験の際、彼と厳島式都と同じ高校に行くはずだったのが落ちてしまったので雰囲気的にもテンション的にもとても泊まりづらかった。
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