epilogue ~永遠~

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『どうして教えてくれないんですか!』 閑散とした室内に怒鳴り声が響き渡った。 『先生は治療法を知っていると聞きました。学会でも発表したと…。お願いします。教えてください。』 そう言って深々と頭を下げる青年の表情は、今にも泣き出しそうに見える。 『…ふぅ。すまないが、人違いじゃないかな。』 先生と呼ばれたその男は、困ったように軽く溜め息をつくと、淡々とした口調で話を続けた。 『今は先生なんかじゃないよ。それに、そんな病名は聞いたことがないな。何かの本にでも書いてあったのかい?』 『…ええ。この本に。』
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