761人が本棚に入れています
本棚に追加
青年の言葉を遮るように、男は話を続けた。
『私も丁度今の君のように、学生時代にオカルトにのめり込んだ時期があってね。魔術だの儀式だの、こういった類の本を読み漁ったものさ。』
『オカ…ルト?』
『そう、オカルトだ。超の付く現実主義の医者を目指す身でありながら、こんなものに興味を持つなんて変わっているだろう?当然、周りの連中には冷たい目で見られたよ。』
当時の記憶を振り返っているのか、男が苦笑いをする。
『しかし、だからこそ医者になれたと言っても過言ではないかな。オカルトを徹底的に追い求めた結果、やはりオカルトは所詮オカルトだと。誰かを救えるのは、現実的な医療の道しかないと。そう気付かされたわけだから。』
最初のコメントを投稿しよう!