epilogue ~永遠~

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男は再び顔を曇らせると、テーブルに置かれた灰皿に煙草を押し付ける。 …ジュッ。 灰皿に薄く張られた水に触れ、煙草は小さな悲鳴を上げた。 …。 …悲鳴。 頭の中で、その言葉が何度も反芻される。 同時に、ある光景が目の前に浮かび上がってきた。 できることなら記憶から抹殺してしまいたい、絶望の光景が。 『いかん、いかん。思い返すのはやめにしよう。もう終わったことだ。』 男は灰皿を見つめたまま、強く自分に言い聞かせる。
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