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布団の中からでは正確に状況を把握できないが、おそらく布団を凝視しているのだろう。
もう逃げ出すことも動くこともできなくなってしまった。
…ぬちゃ。
…ぬちゃ。
男のそんな考えを知ってか知らずか、ソレは布団に向かって動き始める。
まるで男が怯えるのを楽しむかのように、ゆっくりとゆっくりと。
…やめろ…やめてくれ。
どれだけ祈ったところで、見逃す可能性がほぼ皆無なことは、男も頭の中では理解していた。
だが、それでも祈ることしかできないほど、男の精神は崩壊寸前にまで達していた。
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