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陽助はそれを両手で丁寧に拾い上げ、自分の顔の前まで持ってくると、悲しそうな表情で彼女をじっと見つめた。
頬が濡れているのは、はたして返り血を浴びたせいなのか、それとも…。
しかし、そんな光景もほんの一瞬のことだった。
陽助は手を伸ばして彼女の頭部を上に掲げると、自身も上を見上げ、首から流れ出る血をゴクゴクと飲み始めた。
みるみるうちに、陽助の顔が真っ赤に染まっていく。
…。
…。
『…ぐふっ。』
全ての血を飲み干した時、彼の顔には先程までの憂いは微塵も感じられなかった。
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