序章。

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「……受信機とはこの濛々と煙の出ているこの物体の事か?」 大地は、バラバラになって床に散乱している機械片を指差した。 「やられたな。 まさにそれだ」 現状を見て火野は頭を抱える。 「げっ……。 これ、再起不能に近くないですか?」 バラバラのかけらに触れながら雷は言う。 「いや、再起不能だ」 火野は力強く頷く。 「探すすべはないのか?」 腕組みをして大地は考えている。 「……あります」 三人の背後から花音が現れた。 「花音!?」 気配を消し、突如現れた花音に一同は驚いた。 「……救護はいいのか?」 意外にも早く駆け付けてきた花音に火野は確認する。 「とりあえず、全員の処置は完了しました」 花音はキリッとした表情で報告する。 「さすが、花音ちゃん。 医療部隊の第三部隊指揮ってるだけある。」 うっとりとした顔で雷は花音を見た。 「花音、探すすべがあるってどういう事だ?」 疑問に思っていた火野は尋ねた。 「最近、治安悪化が目立っていたんで万が一通信機が壊れた時の予備の受信機作ってたんです」 申し訳なさそうに花音は答える。 「いつの間に……」 花音のまさかの行動に火野はア然とした。
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