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「すみません。
勝手な事をして……」
深々と花音は火野に頭を下げる。
「花音は『保険』として作ってたんだ。
火野司令官、責めないでやってくれ」
真剣な眼差しで大地は火野を見た。
「僕からも頼みます」
雷も火野に頭を下げた。
「……勝手に作ってた事はルール違反だが、今回は緊急事態だから処罰は与えない」
ヒゲを触りながら火野は言う。
「……で、花音。
その予備の受信機は何処にあるんだ」
火野の言葉を確認した大地は話を戻した。
「あたしが安全だと思う場所です」
そう言うと花音は何故か火野から目をそらした。
「緊急事態に遠回しな言い方するな」
焦れったい花音に表情は変えてないが、大地はムキになってあた。
「……あたしの父が持ってるわ」
みんなの反応を伺ながら、花音は言う。
「げっ!
あの変態科学者か!」
雷は露骨に嫌な顔をした。
「……変態とか失礼だ。
ちょっとだけ変わってると言ってやれ」
大地にとってフォローのつもりだろうが、フォローになっていない。
「とにかく、それを取りに行かなくてはな。
李音(りおん)博士……か」
さらりと、火野は話を戻し『李音博士』の名前を呟くと険しい顔をした。
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