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“海咲さんは、奇跡的に命が助かったんですよ”
医師にそう言われたとき、ひょっとしたら憂李がわたしを助けてくれたのではないかと、そんなことを想像していた。
非科学的なことを信じるつもりはないけれど、その時は何故かそんなことを考えてしまったのだ。
(これからは、憂李の分も頑張らなきゃね――)
たぶんそれが、わたしにできる友人への恩返し。
「……」
視界に何か動くものが見えた。
窓の向こうに広がる青い冬の空を、一羽の鳩が飛び去って行った。
完
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