母親「生存フラグ? 何よそれ、おいしいの?」

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「知ってますか? 連れて行く方は何気なしでも、連れて行かれた方は大事な人生に無駄な時間ができて辛いんですよ」 「知ってますか? こうして連れて行く時間分の仕事なんてしなくても、騎士の給料は変わらないんですよ」  むぅ……不憫だ。  だがしかし、やはりこちらにも非は無い以上、こうやって怠慢以下の時間を過ごすことになるのは迷惑な訳で。騎士とやらにも非が無いことぐらいは分かるので、ここは見逃して下さいと頼んだら殴られた。何故だ。 「お前みたいな奴が不法入国なんかしないのは分かるけどさ。規則なんだ。悪いな」 「……そうか。……そうやって常識に捉われて、自分で行動を起こす気にならなくなって……それでいいのかよ? それで楽しいのかよ! ……俺は楽しくないね! そんな世間に縛られるような人生は御免だ!」 「でもお前も権力は怖いだろ?」 「ですよねー」  ちょっと主人公っぽいこと言ってみたけど、相手が悪かった。馬鹿なら何とかなってたかも。 「お前とは良い酒が飲めそうだよ」  思わず未成年ですと言い掛けたが、この世界では未成年も酒を飲んでいいのかもしれない。騎士が法律違反を勧めるとも思えないし……と思いたいが、この人なら言い兼ねない。  本気か冗談か分からないので、とりあえず「はは……」と曖昧に笑っておいた。こういう人間はどうも苦手だ。明るいようで、何を考えてるか分からない。 「とりあえず連行な」 「はあ、れんこーですか」  引き摺られるようにして引き摺られる俺。まんまか。  …………。……はぁ……。
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