母親「生存フラグ? 何よそれ、おいしいの?」

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「審判長様、密入国の罪人を連れて参りました」  あの騎士さんが、敬意を払った言葉遣いで俺を連れて来た旨を告げる。流れからして裁判長だと思ったけど、審判長なんだな。この世界では。 「目を見れば正しきか悪しきかは自ずと分かってくる。近う寄りなさい」  審判長とやらは優しい声色で俺に命令する。余計な反骨心など無いし未来の俺に迷惑をかける訳にもいかないので、ここは大人しく従ってやろう。  まあこの俺が悪であるはずがないからな。こんな第一の試練ごとき、余裕だ。何せ、俺は昔正直者で通ってたからな。忘れ物をして俺が謝れば、小学生の時の俺の担任は必ず許してくれたもんだ。  残念ながら中学の時の担任は、謝ってるのにぶちぶち小言を言うような卑劣な奴だった。優等生の俺が気に入らなかったのか知らないが、よく忘れ物をした俺に変な言いがかりを付けてきていたのを覚えている。  高校に入ると、冷たい担任だと思ったのが記憶に残っている。忘れ物をした俺に、眉をひそめて「取ってこい」と言うのだ。ふざけるなと。俺ん家から高校まで一体何キロあると思ってんだ、と。  大学は行ってない。高校の途中でこの世界に来たからだ。敢えて捏造するならば、大学の数学教諭はハゲていた。 「わ、分からん……だと……」  脳の片隅から意識を眼球へ移動させれば、目の前で絶句するあの老人の顔。しわしわ。
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