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僕を笑ってる。
みんな嬉しそうに笑ってる。
「お前、こじ、ってやつなんだろ?」
運動も勉強もできるけんた君が、笑いながら聞いてきた。
それに合わせて、みんなも笑いかける。
「なー、どうなんだよ」
休み時間。教室の隅っこ。見た目は、楽しげに僕を囲んでる光景。
「言えよ、こじ」
けんた君が笑った。嫌な笑い方だった。
下品な笑い声が、教室で巻き起こる。子供の笑い声が、悪魔の声に聞こえた。
「気持ち悪いんだよ、お前。いっつも一人でさ、ぼーっとしてさ」
豊かに表情を変えながら話してたけんた君が、今はただ一つの醜い顔で、僕を睨んでいる。
みけんにしわを寄せて、威嚇するように睨んでる。
どうしてみんな笑うの?
こじ、ってなんなの?
どうして僕は、毎日殴られるの?
お母さんに。けんた君たちに。
どうして?
「ばーか」
悪魔が囁いた。
「死ねよ」
悪魔らしい言葉。
「きしょいよ」
悪魔がいる。
「この、こじ野郎」
悪魔は、消していいよね?
「何見てんだよ」
バイバイ、悪魔さん。
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