最悪なキス

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泣いてもどうにもならないけど、泣きたくて仕方ない。 いっそ泣いてしまおうか? そう思えば視界は次第に滲み始める。 「君かな」 突然、降ってきた澄んだ声に驚いて振り向き立ち上がると、そこには『彼』が涼しい顔で立っていた。 髪は柔らかそうな癖のあるナチュラルブラウン、鼻筋の通った綺麗な顔、極めつけはその優しそうな眼差し。 『王子様』と言う言葉がぴったりな彼に、美穂は息をのむばかりで彼の言葉の意味なんてちっとも考えられなかった。
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