もっと・君に伝えて・・・<キスよりもっと>

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だけど昼休憩の時間は短くて、 「もう、時間か」 鳴り響く予鈴にそう口にすると「美穂」と名前を呼ぶから―― 「えっ、――んんっ!!」 見上げた瞬間、視界は覆われて。 「ご馳走様」 「・・・・・・はっ?えっ?」 「お弁当とキスのお礼」 「――キ、キスは余計です!!」 真っ赤な顔をして叫ぶ美穂に彼は笑うだけ。 だから、 「もう、迎えになんて来なくていいですから!」 「迷子にならない?」 「なりませんってば!」 「じゃ、どうやってお昼に会うの?」 『会わない』という選択肢は彼にはないらしくて、 そんな、些細なことを嬉しく思ってしまう。 「・・・・・・メール、します」 「メール?」 「もしかしたら、お弁当作れない日だってあるかもしれないし」 多分、毎日張り切って作ってしまいそうだけど。 そういうと、凌は「なるほど」と驚くような表情。 「メールか。思いつかなかった」 「はっ?」 .
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