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思いつかない?
メールなんて一番の通信手段でしょ?
凌の反応に今度は美穂が驚くと、凌は少し困ったように笑った。
「メール機能なんて使ったこと無いな」
「はい?!だって、携帯っ」
持ってるし、今まで何人もの彼女だって――
「うん、携帯は持ってるけど持ってないことにしてるし」
「はい?」
「別れた後が面倒でね」
「・・・・・・」
今までの彼女は付き合っても3日終わり。
綺麗に別れられればいいけど、そうじゃなかったら・・・・・・。
「だから、この携帯番号を知ってるのは君と手塚さんと琢磨、あと数人の友人くらいかな。それも番号だけ」
この状況をどう考えればいいのか。
『特別』って事を喜ぶ?
それとも『最低』って罵るべき?
「複雑な顔してるね」
言われたとおり、どういう表情をしていいか分からない美穂に、凌はクスリと笑う。
「君に罵られるなら甘んじて受けるよ」
素直にそう言われてしまうと、いえなくなってしまうもので、
美穂は「はぁ」と息を吐いて、少しムッとした表情で凌を見上げた。
「メール、するからアドレス教えてください」
その台詞に、
「勿論」
と、凌は爽やか過ぎる笑顔で答えて。
彼から貰ったアドレスは、携帯会社から貰う初期のメールアドレスだった。
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