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その台詞に美穂の心臓がドクンとブレた。
「な、にを?」
「ん?」
困ったような笑顔のまま小さく息を吐いて。
「少し歩こうか」
そう言って差し出された手。
美穂がその手を取ると、彼はその手を引いてゆっくりと歩き始めた。
「なんで、ここにいるんだろうね」
「えっ?」
美穂の驚きの声に、凌が顔だけ振り返って少し寂しそうな笑みを。
「折角、沖縄まで君と来たのに水着姿も見れないなんて」
「――っ、インハイなんです!インターハイ!高校総体!!」
思いっきりそう叫ぶと「そうなんだけど」と呟いてクスリと笑う。
「ここに来るのが目標だったわけで、その後まで考えてなかったな」
「・・・・・・・」
やっぱり。
手塚の言葉は正しかった。
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