34022人が本棚に入れています
本棚に追加
美穂はコクリと喉を鳴らして凌を見上げる。
「先輩は、優勝したいって思わないんですか?」
「・・・・・・優勝、ね」
見えたのは少し自嘲気味な笑顔。
「あんな旗にもトロフィにも興味はないよ」
「じゃあ、何で練習してきたんですか?」
今まであんなにハードな練習を。
「・・・・・・チームが強くなっていくのが楽しいから、かな」
「だったらっ」
勝てばいい。
勝って勝ち続けて――。
「勝ち負けは別問題」
「えっ?」
「このチームでバスケが出来ることが楽しいだけで、負けても別に構わないよ」
驚く美穂に凌は薄く笑みを浮かべた。
「こんなのが部長じゃ困るよね」
それは困った風でもなく自嘲してるわけでもなく――
.
最初のコメントを投稿しよう!