もっと・君に伝えて・・・<キスよりもっと>

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美穂はコクリと喉を鳴らして凌を見上げる。 「先輩は、優勝したいって思わないんですか?」 「・・・・・・優勝、ね」 見えたのは少し自嘲気味な笑顔。 「あんな旗にもトロフィにも興味はないよ」 「じゃあ、何で練習してきたんですか?」 今まであんなにハードな練習を。 「・・・・・・チームが強くなっていくのが楽しいから、かな」 「だったらっ」 勝てばいい。 勝って勝ち続けて――。 「勝ち負けは別問題」 「えっ?」 「このチームでバスケが出来ることが楽しいだけで、負けても別に構わないよ」 驚く美穂に凌は薄く笑みを浮かべた。 「こんなのが部長じゃ困るよね」 それは困った風でもなく自嘲してるわけでもなく―― .
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