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「あっ」
壁に背中を押し付けられ、見えるのは彼の笑顔だけ。
背筋に冷たいものを感じる。
それは壁が冷たいとかそんなものではなくて――
「ねぇ、約束、覚えてる?」
「――や、約束って!」
昨夜の約束。
『ここで勝ったら――』
それを思い出すだけで、カーッと頭に血が上っていくのを感じる。
美穂の表情に、凌はゆっくりと口の端をあげて――。
「ダメ?」
「やっ、だって!」
「なら、負けたほういい?」
「――先輩っ!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ美穂に、彼はにこりと笑う。
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