最悪なキス

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「――鳴海(ナルミ)先輩、それが答えなんですか?」 突然増えたその声。 美穂はその主を彼の肩越しに見つけた。 下唇をかみ締めて美穂を睨んでいるショートカットの彼女。 鳴海先輩と呼ばれた彼は振り返り、小さく「あれ?」と声を上げると、すぐに口をつぐみ考え込むようなしぐさを見せた。 短い沈黙にショートカットの彼女は瞳を潤ませ両手はスカートを握りしめる。 「こんな断り方なんてサイテー!!失礼しますっ!!」 そう叫ぶと彼女は踵を返して走り去った。 何が起きているのかさっぱり分からず立ちつくす美穂。 鳴海先輩はというと「参ったね」なんて呟き美穂を見下ろした。 「君、名前は?」 「あ、えと、真咲美穂(マサキミホ)です」 条件反射で答えてしまうと、「あぁ、そう」と彼は納得したように笑顔を見せた。 「人違いだったみたい。ごめんね」 彼の言葉に思い出す。 そう、あれは――
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