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カラカラ───
「……有田先生?」
卒業式が終わり、私は数学教室に足を踏み入れた。
窓からはたくさんの卒業生たちの姿が見える。
「………何?」
そんな光景をチラッと覗きながらも和馬に向き直った。
和馬はいつものように、机に座って窓の外を眺めていた。
「来ちゃった」
「…来ちゃったって。打ち上げとかあるんじゃないの?」
「別に、後から参加でもいいよ」
和馬は呆れたようにそう言うと、小さく笑った。
「せーんせぇ?それより、お祝いの言葉は言ってくれないんですかー?」
「……あぁ。卒業おめでとう」
私がそう言うと和馬はニッコリと笑って私の頭を優しく撫でた。
……ずるい。
突然、そんなことするなんて。
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