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「……はい」
私はゆっくりと手を差し出すと、和馬は優しく手をとった。
そして指輪を私の薬指にゆっくりとはめた。
「……綺麗」
私は手を目の前に持ち上げ、指輪を眺めた。
ずっと、この薬指に来る日を夢見てた。
……本当に待ち遠しかったよ。
「……美帆」
和馬は私を優しく包みこむように抱き締めると、唇を重ねた。
「……ん」
「絶対に幸せにするから」
私はコクッと頷くと、和馬の背中に腕を回した。
そして、ぎゅーっと力強く抱き締めた。
「幸せになる。……絶対に幸せになる」
「あぁ」
和馬は私の頭を撫でながら、小さく笑った。
私は和馬の腕の中で、和馬の『特別』になったということを噛み締めていた。
サァァァ─────
開いていた窓から風が吹いて、小さな花びらが教室に入り込んだ。
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