中央線.

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中央線.

いつも同じ時間に同じ乗口から電車に乗ると、一緒になる人の話です。  私が毎日利用する中央線にも必ず一緒になる中年の男性がいます。その男性は毎朝必ず新聞を読み、耳にはラジオのイヤホン、おしゃれなカフス、そして眼鏡。ある朝、私はいつもと同じように電車に乗りましたがその男性は乗っていませんでした。その日は朝早くに起きた人身事故で電車が遅れていたので「早めに乗ったのかな」と思い、気にも留めませんでした。翌朝、男性は乗っていました。いつもの席に座っているのですがその様子がいつもと少し違い、見ると眼鏡のフレームがゆがみ、カフスは片方無い。私は男性が読んでいる新聞に目をやるとそれは2日前の新聞でした。私はなんだか怖くなり、男性の顔を見たその時、耳にしていたイヤホンが外れ耳から血が流れ出したのです。私は気を失ったらしく、気付くと駅の救護室でした。  あの日、あの人身で亡くなったのはあの男性だったのか今でも不思議です。
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