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――1年前――
同じクラスの永井雅斗。
カッコよくて
頭がよくて
面白くて優しくて
本当に完璧な男。
目が悪いわけじゃないのにかけてる伊達メガネも、
周りを気遣える小さな仕草も、
ただのモテ要素でしかなくて
いつも女子に囲まれてた彼に
私はいつもイライラしていた。
女子と騒ぐのもあんまり好きじゃなくて、
いつも綾と静かに話してる。
誘われれば行くけど、
出かけるのはほとんど綾とだし、
元々人ごみが苦手だから。
それなのに。
それなのに!
『植木さん!
アドレス教えて~』
……は?
周りの女子の視線が痛い。
だから嫌こういうモテ男。
私なにもしてないのに。
「急になんですか…?」
『植木さんと仲良くなりたいってずっと思ってたんだ~』
もうすぐ2学期が終わるこの時期。
わけがわからない。
なんであたし?
「ごめんなさい私図書室に用事があるので」
長い黒髪を耳にかけて
綾にアイコンタクトとってその場から逃げ出した。
苦笑いしてる彼をみて
よけいにわからなくなった。
「「祐理やっぱりモテるねぇ」」
ふわっと微笑んで
ひょこっとあたしについてくる綾。
かわいいなーまったく。
やっぱり綾といるのが一番落ち着く。
アドレス聞いてくる男子なんて山ほどいる。
それこそ毎日のように聞かれるのに、
あいつだけなんか違った。
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