-私の秘密-

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『おまえだよ 目的はおまえ』 「あたし…?」 『お前が俺のものになるなら これ以上あいつに手は出さない』 「…そんな…」 『言ってる意味 わかるよな』 ごめん永井 あたしのせいで大事にしてたメガネ 壊されちゃって あたしのせいで… 「わかったわ そのかわり 今ここでこれ以上永井に手出さないって誓って」 余裕なんてない。 もう自分はどうなってもいい。 だから… これ以上永井に迷惑かけたくない。 『先輩相手にいい度胸だなぁ!』 勢いよく迫ってきた先輩にあたしは抵抗することができなかった。 だけどそれでも あたしは心の中で何度も何度も"雅斗"ってつぶやいた。 永井がきれいだねって誉めてくれた長い髪もぐちゃぐちゃになって お気に入りのベージュのセーターの第一ボタンは もうなくなっていた。 あたしにまたがる先輩には なんの表情もなくて なんだか寂しそうに見えた。 あたしの手に握られていたはずの小さな紙袋は 先輩の足の下で ぐしゃっとつぶれていた。 .
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