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原型がなくなってくチョコレートを
黙ってみてるしかできなくて
あたしは涙が止まらなかった。
先輩があたしを触れる手はすごく冷たくて
氷のようだった。
あたしは自分が汚れていくのを見たくなくて
そっと目を閉じた。
そしてそのまま
眠りにおちていった。
――
――――
――――――
『……り』
『…祐理』
「…まさ…と」
あったかい手。
冷え切ったあたしの手を握りしめていたのは
先輩ではなく永井で
あたしは再び涙を流した。
『もうだいじょぶだよ~』
あたしの上半身をおこして頭をなでた。
そう言って微笑む永井の表情は
今まで見たなかで一番ぎこちなかった。
笑ってるのに目だけ笑ってなくて
必死にあたしになにかを訴えているようだった。
『未遂』
「え?」
『ギリギリだったんだからな~?
俺がきたときにはもう祐理は気絶してて
先輩は服脱がそうとしてた』
「……」
『………よかった…
ホントによかった間に合って…
もし間に合わなかったら俺…
もう生きてらんない』
「…雅斗」
『祐理しか考えらんない』
『祐理がいれば何もいらない』
『祐理……
好き…大好き』
.
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