パウロの手記⑯

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4人の上司を最後に見た人物。 彼は今、ガイア魔法学校で教官になった。 しかも、4人の人生を小説にしたものが映画となり、大ヒットを記録。 可愛らしい年下の恋人もおり、充実した人生を送っている。 「俺から何を訊きたいんだ?」 大柄の体に威圧感を覚える。 しかし、私は臆せずに質問をぶつけた。 「あなたはなぜ、生き残ったんでしょうか」 「若かったからだ」 ブロは唇を噛み締めながら言った。 「みんな体力の限界だった。だけど、俺は若い分、まだ体力が残っていた。だからレイザさんは俺を選んだ」 「他に理由は?」 「……もしかしたら、要塞よりも地道に逃げた方が生き残る確率が高いってレイザさんは思っていたのかもしれない」 ブロの目が微かに潤む。 「だが、レイザさんは元帥だ。体力が限界で脱落者が出たら、見捨てられない。だから休むことを選んだ。俺はそう思う」 「では、アンさん達の時は?」 「同じだ。追っ手が迫り、俺は先に逃げろと言われた。若いから、もっと生きろって。……あんな可愛い子供達を遺して……ズルい人達だった……本当に」
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