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「……なんと言っていいか分かりません。すみません」
なぜだろう。
急に悲しくなってきた。
彼の死で失われた幸せが幾つあるだろうか。
目の前の大男が不意に涙を溢した。
最初は目頭に一筋だけだった滴が、やがて目尻からも。
手で拭っても、それが止まることはなかった。
「……俺はどうして生き残ったんだろうか、と……思うんです」
ブロは言葉を続けたが、涙は止まらない。
私はどうして良いか分からず、目を伏せる。
「……初めてレインやユイと会った時……気さくさを装っていたが……怖かった……恨まれると……思って……」
……もしかして、彼は今も怖いのだろうか。
生き残った罪悪感
自分だけが幸せを手にする罪悪感
きっと、今後も彼は苦しみながら生きていくのかもしれない。
レイザがそんなことは望まない、などと在り来たりな慰めなど意味を為さない。
ふと、私は屋敷にある写真に目が向いた。
ブロの恋人であるギルアが、暗い建物の中で涙ぐみながら笑顔を向けている
だが、写真の一部が白くなっている。
その形は、まるで人の形のように見えた。
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