ある日、吹雪の山中にて。

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――結局、どの部屋にも人間1人いなかった。 人間はいなかったのだが。 おかしなことに、いくつかの部屋は電灯がついていたのだ。 コージの胸がざわつく。 これだけ人間の存在を確信できる事実が目の当たりにあるのに、依然としてその存在を確認できないのだ。 いよいよ妖しげな臭いを漂わせてきた。 コージはある部屋の前に立っている。 それは二階の一番奥にあった。 コージが未だ調べていない、この館の最後の部屋である。 もし、ここに住人がいなかったら…。
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