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話を要約すると、嫌味な貴族がいて俺の悪口を言ったから買い言葉に売り言葉で勝ったら修道院が建て直せる寄付金をもらって、負けたらその嫌味な貴族と婚約することになった、か。
うん、意味分からん。
じゃあこれって俺も悪いのか? いやそんな訳ねえよな……。
苦笑いをしながら頭をかくしかなかった。
「かつてイストリアに鷹ありと謳われたクルケッサ様。どうか私に御力をお貸し下さい」
「ちょ、待て待て待て待て!」
まるで神に嘆願する信者のように片膝をつき深々と頭を垂れるレイラ。通りすがる行商人が何事かと集まりだした。
自分でも話とか展開の整理が出来てない時に、急に後頭部から鈍痛が走った。
何事かと振り返ると、艶かしい褐色の肌に金髪の色っぽいお姉さん片手に鍋が。彼女の強気なアプリコットの瞳が俺を睨みつける。
ちなみに鍋が凹んでいた。強く叩きすぎだ、頭痛い。
「うちの大事な金づるに何してくれてるのかな、この犯罪者。金置いてとっとと失せなさいな」
「……話合う余地は……」
もはや周りを取り囲む行商人共は野次馬からこのナイスバディのお姉さんの味方、つまり俺の敵としてガン飛ばしていた。
そしてこの空気に気付かずいつまでも頭を下げ続けるレイラに馬鹿って言ってやりたくなった。
「ない……?」
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