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「だいたいですねぇ、いつもいつもツェーさんは私とか私とか私とかとにかく私の言うことなんて一ッッッつも聞かずに騒動を起こし過ぎなんです。この前の偽占い師だって別に悪気があったわけじゃなくてただお金に困って少しだけお値段を高くしただけでやれ詐欺師だなんだと決めつけて無理矢理稼いだお金を取っていっちゃったりとか、それからもう――」
レイラはそこまでを一息に言い切ると、その豊満な胸に手を当て深呼吸を二,三回繰り返した。
誰もピクリとも動こうとしない様は何故か笑えたが、顔には出さないようにした。
「商人の方々、誤解させて申し訳ございません。ただ私は頼みごとをしていただけなのです。本当にお騒がせしてすみませんでした」
レイラが深々と周りに頭を下げる。
それに渋々と納得し、蟻の巣を突いたように出てきた行商人達は持ち場へと帰っていった。
どさくさに紛れて帰ろうとしていた褐色のお姉さんは首根っこをレイラにひっ捕まれている。
「まずはクルケッサ様の縄をほどいて頂きましょうかツェーさん」
「あの、それ掛けたの私じゃないんだけど……」
「ほどいて頂きましょうか?」
「……はぁい」
レイラの圧力に屈し、腑に落ちない様子のお姉さんがしゅるしゅると俺の縄をいとも容易くほどいてくれた。
ちなみにいい香りがした。
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