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仰々しい巨大な鉄の扉が看守共によって軋みを上げながら開けられる。
娑婆の空気を吸うのは久しぶりだ。
門をくぐりさっさと外へ出ると、二人の金髪ハーフエルフェの女が俺を待っていた。
片方は蒼い吊り眼といくつかの勲功章のついた騎士団服を着た堅物。女にしては長身だ。
もう一人は左右が赤と緑のオッドアイで修道服を着ている小娘。妙に俺に対する殺気が鋭い。
この二人、どっかで……。
「クルケッサ・イーグル中尉ですね。初めまして、レイラ・アルケウス少尉と申します。こちらは妹の――」
「止めて姉さん」
姉レイラの喋りをぴしゃりと遮った妹。なんなんだ一体。
「こんな屑に教える名前なんてない。大事な人って誰かと思ったら……」
「おいおい、話が見えねえんだが説明頼むよ。オッサンは空気とか雰囲気とかの機微が分っかんねえんだわこれが」
「……うるさい死ね!」
思いっきり親指で首をかっ切る動作をしたか、と思えば足早に修道服の妹は走り去っていった。
そしてレイラが気難しそうな顔をしながら近づいてくる。俺も口ではああ言ったがだいたい言いたいことは、分かる。
「申し訳ございません中尉。あの子は少し中尉に勘違いしていまして……」
「勘違い、ねえ……」
親の仇と言わんばかりの殺気。あれは勘違いなんかで出せるもんか?
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