銀月の修羅

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俺達の住む聖イストリア帝国の現敵対国、ネフティス夜皇国。通称ネフティス。 ネフティスには鬼死環と呼ばれる不死になれる現象がある。当の国ですらいまだ全体は掴めていないらしい謎の現象。 まあ不死はいい、首をはねればどっちみち動かなくなる。 問題はあのソビニア・ゾル・アギハがヘカトンケイルを雇ったということだろう。 「ソビニア中佐は民の反乱や裏切りを用いるなど、とかく人の心を操るような戦略をとる方で今のところ我が軍が彼に勝ったという記録はありません」 戦略を『とる方』、か。騎士の誇りとして敵にも敬意を払う。当たり前だが大したことだ。 「そこで俺に白羽の矢が立ったってわけか? 生憎、俺はあんたより階級が下なんだぜ少尉殿」 腕組みをして、ふんと鼻を鳴らしてみせた。そんな面倒くさそうなこと自分から関わるかよ。 すると一回りは小さくなったかと思うほどしゅんと項垂れて、レイラはぽつりぽつりと語り始めた。 「いえ、白羽の矢が立ったのは私なんです。ですが、実戦となると今回が初陣でして……そのぅ……――」 「はぁ? 負ければ婚約ぅ?」 突拍子もない話にレイラの頭が完全にイッたと思えた。
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