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それを横目で確認しながら、桐谷は自分の机から、無造作に置かれていた自分宛の郵便物を束ねて持ち出し、彼らの向かいに座りながら、ひとつひとつの封筒に目を通した。
会話の切り出しに躊躇していたので、少しでも時間を稼ぎたくなり、2人とは目をあわさずに手だけをせわしく動かしていたが、正面からの射るような視線を痛いほど感じるだけで言葉が思いつかずに、焦りだけが支配している。
10何通もの郵便物があったものの、差出人はだれひとりとして頭に入っていない。
きっと、こいつらは俺の焦りも見透かしてるんだろう。
そう思うと、矢も盾もたまらなくなり、意を決して口火を切った。
「まず、あなたがたが何者なのかを、教えていただきたい」
言い切った直後に唾を飲みこむ。
男は静かに言葉を返した。
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