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「私のなまえはURAK、ウラックとお呼びください」
「・・・・・?」
顔色ひとつ変えず、落ち着き払った口調から出た自己紹介は、奇妙な響きをもって桐谷の耳にすべりこんだ。
なんとなく無国籍な雰囲気を漂わせてはいたが、ハーフということなのだろうか、訝しげに眉をひそめるとウラックと名乗るその男は、傍らに腰掛ける美女を一瞬見やった後で言葉を続けた。
「彼女のなまえは、AZELE、エーゼルといいます」
桐谷を見据えて、エーゼルと紹介されたその子は、かすかに笑みを浮かべて静かに会釈を送った。
この子も、多様な血をルーツにもつバックボーンがあろうことは全身からアピールされていたので、容易に想像ができた。
優性遺伝うんぬん、とはまた次元の違う美しさと思っていたが。
それにしても、2人ともあまり聞き慣れない響きの名前で、ファーストネームなのか、ファミリーネームなのかも判らない。
兄妹なのだろうか。
似てる、といえば似てる気もするし、まったく似てないようにも感じられた。
カップル、というような趣きとも違う。
ただ、2人ともどこか生身の人間らしいところが無く、ややもすると機械のような冷徹さを醸し出しているところだけは、似通っていると思えた。
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