遭遇

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稲妻が身体を貫いた、という表現が妥当だろうか。 ー誰だ、あの子…!? 長年、業界に居ていろんなタレントをつぶさに見てきているし、だいたいの新顔も頭に入っているつもりだ。 明日を夢見るアイドル予備軍たちが、一生懸命に更新するブログもチェックを怠らない。 かつては、そこそこ時代を風靡したスターを抱えて、この世界の勢力図を塗り替えるべく奮闘し、また、そうさせる自信もあった。 だが、もっとも売り出しに心血を注いだナンバーワンの成長株が、ワイドショーに取り上げられるようなスキャンダルを引き起こしてからは、管理責任を問われる形でブッキングから外されるようになり、その力は急速に低下していった。 今では、テレビの深夜バラエティーで水着姿のままキャピキャピはしゃぐ女の子をたまに出演させる程度であり、これもいわゆる人数合わせにすぎない。 顔馴染みの、他のプロダクションから吸収合併の打診もあったが、突っぱねた。 ーこのままでは、終わらんぞ。
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