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ひとまず咲は、その場で様子を窺(うかが)うことにした。
少女は苦笑いを浮かべながら、何でもないことのように立ち上がる。
「大丈夫です。私ったらそそっかしくて、小さい頃からよく転ぶんです。お騒がせしてごめんなさいね」
そして恥ずかしそうに、片手で、乱れてもいない後れ毛を整える。
恐らく、こういったとき、自身が気づかない内に自然と出る仕草なのだろう、と咲は思った。
少女は、それとなく少女に視線を向けていた周りの客に謝りながら、店の奥へと入っていった。
少女が無事であることを知り、咲と弥也はふう、と同時に息をつく。
すると思わず顔を見合わせて、二人は笑い合った。
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