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外は、雨だった。
空いている手を空に向けてみれば、霧雨というか、いや、もう少し雨粒が大きい雨が、ポツリポツリと当たった。
普段の私なら、この程度じゃ傘なんかささないけれど。
今は、さしたい気分だった。
誰にも、このひどい顔を見られたくなかった。
*
「相合い傘って、一回やってみたかったんだよね」と言いながら、あなたが私の頭上に傘をさして歩いてくれたのは、多分半年くらい前。
たかが半年、されど半年。
心変わりするのには、十分過ぎる時間。
いつからだろう。
あなたが私に本当の笑顔をくれなくなったのは。
黒目が見えなくなるくらい目を細めて、ちょっと首を右に傾げて、私を見つめる笑顔。
いつからか、それになんとも言い表せない違和感を感じるようになった。
その違和感が、その笑い方にあると気がついた時、何かが終わった気がした。
うっすら、眉間にしわが寄っていた。
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