🌸かごめは俺の嫁！！🌸

　儚くも壮絶なあの闘いから早幾年… ２人は夫婦の契りを交わしていた。今は闘いから一線を引いて時折来る妖怪からの襲撃を除けば平和な日々そのものを送っている。そんなある日今日はいい天気だからとかごめは奈落を縁側に誘い出し日向ぼっこを決め込んだ。だがただ陽射しを浴びるだけではつまらぬと奈落はかごめの膝元に頭をのせ瞳を伏せる。「もう…奈落ったら」微笑みを浮かべる奈落に頬をほんのり染めて小さく抗議するが無駄だとわかっているから抵抗はしない。「ねぇ、奈落…」やがて眠ってしまったのか瞑目した奈落に呼びかけるが何の反応も見られない。さわさわと撫でる風で奈落の顔に髪がかかったのでかごめはそっと手をかけてよける。くせっ毛なのに意外にも柔らかい髪質でかごめは何度も梳いたり指に絡ませたりした。穏やかで優しくてどこかくすぐったい空間。今の奈落の横顔を見ているとあの頃の面影はない。かつて奈落はかごめの中にある“安らぎ”に惹かれ、かごめは奈落を纏う孤独な心に惹かれていった。自覚した時にはもう止められなかった。闘いの中で芽生えた想いは消そうと思えば思うほど深くなっていき悩み苦しみ傷つけそれでも求めてきたあの頃。もうあんな思いをするのはたくさんだった。「奈落…」そっと屈んで奈落の頬に口づけをしようとした… その時だった。　

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