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「先生、僕の人形… 返して」
……藁人形のことか?
「コレですか?」
「ん。」
岬は怠いのか、言葉短めに返事を返す
「構いませんが、一体何に…… まさか、本当に呪いを-?」
「ん…。ちがう。呪いをかけてるのは僕じゃないよ?」
その言葉にピシッと教室の空気が凍りつく。
「辻君が… 呪いを受けてるから、その人形に身代わりになってもらったんです…
三日前だか、二日前か忘れましたけど、教室に辻君が来たときに… 気づいたので、形代に彼の一部を使うのに髪の毛を少々頂いたのですが…
なにぶん、思ったより呪いの力が強くて-」
ああ、なるほど。それでアレか…
志紀は岬の言葉に頷き、納得いった顔でカタカタ…っと震える辻を見た
「最初は、恋を叶えるといった、ただのおまじないだったみたいですが…
そのかけた人が何が原因かは知りませんが亡くなったんです。
その亡くなってからも、その恋が報われない無念と彼に対しての執着心に、いつしか彼にかけられたおまじないは『呪い』へ変わったんです… 一緒に連れて逝こうと-」
面倒だったので、と岬は少し困惑の表情を浮かべる
「面倒だったので、祓わず、形代を使って彼への被害は抑えようとしたんですけど…
向こうも邪魔をされてることに気づいてしまったようで、腹を立てたのか。辻君本人にではなく辻君のいるクラスに目を付けたんですよ。
…ここの空気、酷く濁ってます。恐らくこれも… 彼女のやったことでしょう。クラスの仲に不穏な空気を漂わせ、苛つき、お互いに罵り合う…
心当たりないですか」
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