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「――… ということで無理でした。そもそも、うちの問題児と俺様会長を演劇に使うことに最初から無理があるんですよ」
そこは理事長室。
黒革の高級椅子に深く座るシフォンの兄でもある理事長に志紀はにこやかな笑顔。
「…………はぁ」
珍しく溜め息つく理事長に志紀は呆れ顔。
「馬鹿ですねぇ。変な意地を張らずににシフォン君に会いに行けばいいじゃないですか」
「…………」
「ブラコンでも隠し撮りはダメだと思いますよ?演劇だって、シフォンの姿を堂々とカメラに収めるためだったのでしょう?」
「ぐ…っ!」
「そもそも、うちの岬くんと俺様会長を使うこと自体が間違いだったんですよ」
小さく溜め息ついて出ていく志紀を見送った理事長はデスクの引き出しを開ける。
そこには――…
英国にいたときの幼いシフォンに、岬に何やら怒っているシフォンの写真と‥‥‥
なぜか、いつもカメラ目線に… ブイと決めポーズを取る岬が写っていた。
「……………」
どうやら岬は気づいてるようだが、シフォンは気づいてないようだ。
それを引き出しにしまうと手を組んで、また溜め息をついた--
そう、何を隠そう理事長はシフォンに冷たく接しているが、実は大好きで堪らない"隠れブラコン"だったのだ…。
(完)
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