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笹山中学校の演奏は、
人数の迫力に負けていない、
力強い演奏だった。
指揮者の先生も、腕を大きく振って、力に満ちた指揮をしている。
これだけの人数をこんなにまとめられるってすごいなぁ‥
すっかり演奏に聴きいっていると
希の手が私の肩を勢いよく叩いてきた。
「ねぇっ!ねぇっ!咲っ!
あの人見てよ!
あのバスクラ吹いてる人!
めっちゃカッコよくない?」
今にも跳ねそうなほどに興奮してる希は、
その人を指しながら私に教えてくれた。
バスクラというのは、
バスクラリネットのことで、
希の指の先には、ものすごく管の長い、大きなバスクラを吹いてる男の子。
他の学校のよりも大きいサイズのバスクラを吹いている男の子は、確かに目立っていた。
「また希のイケメン探しが始まった~!
人を指差しちゃダメでしょっ!」
さすがに、舞台にすごく近い、
前列3列目に座っているのに、
堂々と指を指す希には、
これじゃあ相手にバレちゃう!と
あわてて希の手を降ろそうとした。
「いや、マジでカッコいいって!
あれはモテる。」
それでも言うことを聞かずに視線をビクともさせない希に、
そんなに~?と、
私もその男の子の顔を見てみる。
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