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指揮棒が振り下がると、 バスクラの男の子は立ち上がり片付けを始めた。 そして、舞台袖に入って行こうと立った。 うわぁっ 背、高くなったなぁ‥ 立ち姿にも、目が離せない。 「ほらっ!今だよっ!」 希が焦ったように、私の背中を叩く。 私は、とっさに手をふった‥‥ ねぇ‥ 名前もわからなくなっちゃった程 前のことかもしれないけど お願い‥ どうか、こっちを向いて 私に気付いてほしいよ‥ そして、どうか私のこと、 思いだして‥‥‥ こんな想いを込めて手を振るようなことなんてあったかな‥ もう、私の視界には彼しか映っていない。 すると、 舞台袖の手前に立っていた彼が、 こっちを‥‥‥    目 が 合 っ た    ─────‥ ────‥ ───‥ ─‥ .
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