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私は、まだ状況を理解できずに、
彼が舞台袖に入って行っても
口を両手でおさえて、ただただ呆然と舞台を見ていた。
信じられない‥‥
目、合ってたよね‥‥?
ずっと‥合ってたよね‥?
すると、希が私の肩をバシバシと叩いてきた。
「きゃ~!!
咲、すごいじゃんかっ!!
彼、ずっと咲のこと見てたよ??
私も一緒に手をふってたのに~!
何かドラマみたいな展開じゃない??」
私は、胸が壊れてしまいそうな程ドキドキしていた。
「どうしよう~。
まだ、信じられないよ‥
これから、どうすればいいのかなあ?」
すると、希は得意げに笑って、
私の手を引っ張って立ち上がった。
そして、入口の方にどんどん進んでいく。
それと同時に、
アナウンスが鳴った。
『これにて、午前の部の演奏を終わらせて頂きます。
ただいまより、お昼休憩となります。
ホールの中での飲食は禁止のため、
昼食はホールを出た場所にある広場などをお使い下さい。』
希は歩くスピードがどんどん速くなっていった。
「ちょ、ちょっと待って!
希、どこいくの!?
お昼休憩になったら集合だよ?」
「だから、急いでるの!
当たり前でしょ?
あの彼のところに行くんだよ!!」
「えぇっ??なんで??」
「話しかけるに決まってるじゃない?!」
「えぇっ?」
どんどん希の歩くスピ-ドが速くなって、
私はついていくのに精一杯で、
頭の中は、クエスチョンマークでいっぱいだった。
あっという間に、扉の前に着き、
扉をあけて、ロビーにでた。
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