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数日後のふたり。
「円居、お茶ない」
人んちの冷蔵庫に頭を突っ込んだまま、伶良が言った。
「マジか」
「円居、コンビニ。早くして、置いてくよ」
彼氏になったというのに、酷い扱いだ。
***
「えー、冷たいココア売り切れてる。俺ココア飲みたかったのになぁ。伶良は、決めた?」
「私ミルクティー」
「お前いつもそれじゃん」
「だって好きなんだもーん」
「へぇ…」
いいこと、考えた。
俺がにやけているのに気づいたのか、伶良が嫌そうな顔をする。その表情はとりあえず無視して、伶良の耳元で囁いた。
「お前いつも俺んち来るじゃん、なんで?」
教えてほしいな、と付け加えると、あの日と同じトマト伶良が現れた。
「なぁ、なんで?」
「……だって、好きなんだもん」
真っ赤になって見上げてくる伶良は可愛いけれど、言わせておいて照れている俺の顔を見せるわけにはいかなくて、伶良を直視できなかった。
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