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「…ほっといて。うるさい。」
「泣いてるの?」
最初は、よくあるナンパかと思った。
黙りこんだ私の頭を、その人はポンポンと撫でた。
「ここの海は、いつも綺麗なんだ。空も、綺麗。君は、海の中から空を見たことがある?」
そう聞かれて、初めて空を見た。
満天の星。白く輝く月。
「僕はよくここで泳ぐよ。…おいで。」
彼は気がつくと海の中にいた。
暗くてよく見えないけれど、白くてライオンみたいな彼の髪の毛は、月のようにキラキラ輝いていた。
ちゃぷん。
彼のゴーグルを借りて、私は服を着たまま海に沈んだ。
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