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大石はため息をつく。
すかさず輝彦はつっこむ。
輝彦「どうした?幸せが逃げるぞ」
大石「幸せなんて時じゃないだろ、今は」
真面目な顔つきに戻った大石に、輝彦も無表情ではあるが真剣な面持ちになった。
大石「こうやってここで喋っている間にも、軍は大慌てだ。もうじきでかいのが来る。そしたら幸せなんて言ってる場合じゃなくなるさ」
輝彦「停戦協定が結ばれたらしいな。つまりは戦争をしている場合では無くなったってことか。
敵はシャオーガだろう?」
大石「よく知ってるな」
輝彦「大石財閥の力を甘く見てもらっては困る。どんな技術を要しているかは知らないが、連中を相手にするにはもはや数押ししかないだろうな」
大石「数押しでどうにかなればいいけど」
輝彦「まあどっちにしろ、儲かるのは我が社だ。AMFにもASAにも軍事提供しているからな」
そう言うと、輝彦は立ち上がり椅子を元の場所に戻した。
大石「もう行くのか?」
輝彦「大きな戦いになるのなら、軍事産業を担う大石財閥も暇ではなくなるからな。今のうちに準備を整えておく」
大石「そうか……。
たまには日本に帰って、母さんに会ってやれよ」
輝彦「あいつは強いから大丈夫だ、だが……」
輝彦は相澤を見た。
輝彦「君は存分に甘えなさい、若いうちの特権だ」
相澤「えっ?あ、はいっ」
輝彦「ああ、それと、馬鹿な息子だがよろしく頼むよ。私はそろそろ孫の顔が見たい」
そう言い捨てて、輝彦は病室を出ていく。
相澤と大石は顔を赤くし、大石はわざとらしく咳ばらいした。
大石「き、気にするなよ、父さんはいろいろ変な人だから」
相澤「いえ、輝彦様は面白い方ですから大丈夫ですよ。
──でも、この戦いが終わったら……」
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