それぞれの決意

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大石「離れてても一つ、ねえ……」 大石の表情が曇る。 それに気づいた皆が心配そうに見つめる中、珍しく真剣な眼差しで大石は皆を見た。 大石「なら、焔は今でも斬龍隊か?」  沈黙する一同。誰も返す言葉が見つからないようだった。 大石は続ける。 大石「多分、次の戦いってのはこの戦争における最後の戦闘だ。そして、史上最悪の戦闘だ。人類の存亡を賭けた、とまで言っても大袈裟ではないだろうが、これは俺達の本当の意味の正義が問われる戦いになるだろうな。  そして、きっとこの戦いには焔も来る。 正直言って、俺は皆が思うほど焔を悪く思ってないんだ。むしろ焔の気持ちもわかる、うちの上層部とか見れば分かるだろう?」  大石が言うのは、ASAの上層部のことだ。 いや、実際はASAだけの話ではない。それは国家組織という集まり全体の話だ。 もちろんASAの上層部には、先の神童大佐等の人間もいる。だが実際のところ、神童大佐は軍としては邪魔者の部類だろう。命令を効かずに単独行動し、そして結果的にはそれは正しい判断だと解釈され、英雄となる。  軍隊としては好まれない。軍隊が欲しがるのは英雄ではなく、駒となる軍人だ。  大石は一兵士としてではなく、一人の人間として話をした。 軍隊というのはそもそも、自国を守り、そしてそこに政治が絡むと、利益が求められる。確信性の高い投資が求められる。 今回の件は、確信性が極めて低い。踏まえて利益がない。 この件を上層部に申告したところで、上層部の検討委員会からの結果が出る頃には、世界は滅んでいるだろう。だとしても、上層部の人間は他の人間達よりも有利な立場にあり、シェルターなどを使えば自分らの生命は守られるのだ。  だから焔 龍斗は離反した。 軍というまとまりでは何も出来ないからだ。 それは今、大石の心の中でも大きな影響を与えていた。
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