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──そして5年後の2010年、恐るべき計画を実行した。
倒産する前に企業で極秘に開発していたものがあった。兵器だ。それも、今までにない全く新しい兵器。
その兵器は人工的に地震を起こす代物だった。しかも、周波数を変えればどこからでもピンポイントで標的を狙える。そんな兵器だ。
元は第三次世界大戦のために開発されていたものだった。その開発を極秘に担当していたのが、何を隠そうベン本人だった。
ベンは三年前、世界に向けて声明を発信していた。度重なる環境破壊によって地球はコントロールを失っている。もうすぐ終焉がやって来る。人々の犯した罪で地球は崩壊していく、と。
だが、誰もそんな話を聞くわけがなかった。世は戦乱の時代、それにベン・ガリュートなど、すでに忘れ去られた存在なのだから。
ベン「ついにこの時が来たよ、ドラグーン」
そして2010年、その日を迎えた。ベンは笑みを浮かべ、モニターに写る少女に話し掛けた。
少女は表情を変えぬまま、ベンに応じる。
ドラグーン「全システム正常、計画に支障はありません。ですがよろしいのですか?計画を実行すれば、博士も……パパも無事では済まない」
ベン「良いんだよ、ドラグーン。命に意味など存在しない。それより大切なのは、この堕落した人類を粛清することだ。そのための人柱になるなら光栄なことさ」
ドラグーン「人間とは面白い生物なのですね。私にはわかり兼ねません」
ベン「そのうち分かるときが来る。人間はどれだけ愚かなのかをね。それじゃあ始めようか、ドラグーン。君の管理する世界の始まりだ」
ベンはエンターキーを押した。
──その瞬間、世界は崩壊した。
ガリュート現象。史上最悪の天災を、誰にも気づかれることなく、あの兵器を用いて、本人の手で引き起こした。
地球の核を変動させ、世界を壊す。そうして、ガリュートは人類を粛清したのだ。
こうして、ドラグーンの管理する世界が始まったのだ──。
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